Saturday, October 22, 2011

RSA Animate - The Divided Brain




【動画紹介】

教育行政者、教師、教師志望者など広く教育に携わる人々にぜひ見て欲しい動画です。

おそらくは J. P. Guilfordに由来すると考えられる、「収束的思考」と「拡散的思考」という分け方がありますが、現在はどんどんと収束的思考ばかりを教育界が促進し、狭く固定的に定義された問題を解く技術の素晴らしさを雄弁に語りますが、その一方で漠然と広く問題を俯瞰する知恵を抑圧しています。

多くの教育行政者は収束的思考から一歩も出ないままに、固定的に定義された「説明責任」や「エビデンス」で教育を改善しようとします。教師はとりあえず固定的に定義された問題の解法を手っ取り早く教えることで、テスト成績を上げ「エビデンス」を提示し「説明責任」を果たしたとします。そんな制度の優等生が教師志望者となり、さらに収束的思考に邁進します。

収束的思考の重要性を説くのに私は人後に落ちませんが、現代はあまりにも拡散的思考・直感的理解を軽視しすぎです。具体的に言うなら、体育・音楽・芸術・技術家庭などを軽視しすぎです。

私からすれば、体育・音楽・芸術・技術家庭などこそが、学校教育の基盤科目であり、その上に国語と算数(数学)の基礎科目があり、さらにその延長として社会・理科・英語といった発展科目があると考えるべきだと思います。この世界の中の身体を基盤とした直観知の発達を抜きに、ペーパーテストの点数だけ上げても、そんな「エリート」は現実世界で役に立たない(時に現実世界の障害になる)からです。

今一度、収束的思考と拡散的思考のバランスを考えなおすべきだと強く思います。収束的思考を発達させた西洋近代は、たかだか数百年の歴史しかもっていません。しかし人間とは、数万年(あるいはそれ以上)の進化のもとに生きている存在なのです。私たちは近代の名において、太古からの知恵を失ってはいけません。

この動画では収束的思考・拡散的思考という用語は使われていませんが、考えは同じだと理解しています。

まあ、ぜひご覧ください。


【印象的な英語表現】

"The intuitive mind is a sacred gift. And the rational mind is a faithful servant." (Einstein)


【関連サイト】

Brain Pickings(←お薦め。ぜひGoogle ReaderでRSS購読しTwitterでフォローして下さい)
http://www.brainpickings.org/index.php/2011/10/21/the-divided-brain-ian-mcgilchrist-rsa/

The Master and His Emissary: The Divided Brain and the Making of the Western World by Iain McGilchrist(←動画の説明者の著書です)


【投稿者】
柳瀬陽介(管理人)

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